2025-10-5 オハイオ研究
リーダーシップ行動類型論の一つ。アメリカの心理学者シャートルらオハイオ州立大学研究グループによる、1940年代の大規模なインタービュー調査に基づく。
彼らはリーダーの行動を詳細に記述する質問票を用い、軍隊や民間企業25,000人以上の観察調査やインタビューを行った。この調査から抽出されたリーダーの行動パターン1,700通りを分析した結果、最終的にリーダーシップ行動の大部分は「構造づくり」と「配慮」という二つのカテゴリーに分けることができるとした。
「構造づくり」とは、集団が成果をあげるためのインフラを整えたり、メンバーの役割分担を決め、作業手順を示すといった行動である。「仕事」に焦点を当て、集団を外形的に管理するイメージになる。
一方の「配慮」は、メンバーとの信頼関係を築き、感情面の気配りやアイデアの尊重といった行動で、集団の維持強化を重視する。「人」に焦点を当て、集団を内側から支えるイメージである。
オハイオ研究の結論としては「構造づくり」と「配慮」の両方に高い関心を示すリーダーが、優れた業績と部下の満足度の双方を満たす可能性が高いとしている。アイオワ研究と同じく、結論だけ聞けばごく当たり前のことのようだが、豊富なデータに裏付けられた信頼性の高い実証研究であり、その後のリーダシップ研究に与えた影響は大きい。
多くの方々は、上司というものは多かれ少なかれ「構造づくり」と「配慮」の両方の要素を持っており、また、どちらかに寄っているケースが多いことは経験済みであろう。 組織に属する人間の肌感覚としても納得性の高い理論ではあるまいか。

