2025-10-7 PM理論
リーダーシップ行動類型論のひとつ。日本の社会学者、三隅二不二により提唱された。リーダーシップを「P(パフォーマンス)機能」と「M(メンテナンス)機能」の2つの側面から分析する。
P機能は組織目標の達成に関する行動を指す。明確な目標を設定し、手順と役割分担を決め、スケジュールに沿って進捗を管理する。一方のM機能は、組織が円滑に機能するための心理的・社会的側面にアプローチする行動である。信頼関係を構築し、コミュニケーションを促進することで士気を高める。
三隅はリーダーシップの類型をこの2軸による4象限に分類した。
・PM型・・・PとM、どちらの機能も強いタイプ。理想的なリーダーとされる。
・Pm型・・・目標達成に向けた行動に長けている反面、部下に気を配ることが苦手なタイプ。筆者はサラリーマン時代、このタイプであったと自覚している。
・pM型・・・部下と良好な関係を築くことができ、チームワークを保つことは得意だが、組織を率いて目標を達成する行動が弱いタイプ。
・pm型・・・どちらも弱い未熟なリーダー。
PM理論はシンプルでわかりやすいため、現代のビジネスシーンにおいても広く活用されている。リーダー候補に自分の強みと弱みを自覚させ、どの機能を強化すべきかを示すことで、育成の方向性を共有することができる。
もっとも、自分のタイプが分かったからといって、苦手な部分を訓練で身につけていこうというのは、そう簡単なことではない。そもそもこうした行動パターンは、その人の生まれ持った気質や、それまでに培われた価値観と強く結びついている。無理に矯正しようとせず、例えばPm型の課長にはM機能の強い番頭役を付けるといった人員配置の配慮のほうが有効な場合もあるだろう。

