2025-10-8 マネジリアル・グリッド

リーダーシップの行動類型論の一つ。アメリカの心理学者R.R.ブレイクとJ.S.ムートンにより提唱された。この理論は、リーダーのマネジメントスタイルを理解し、評価するための手法であり、リーダーシップの行動を「人間への関心」と「生産への関心」の2つの軸でとらえる。それぞれの軸は9段階に分けられ、図のように合計81の格子(グリッド)を形成する。
2軸がそれぞれ意味するところは、これ以前の多くの行動類型論で定義された内容とほぼ同じである。「人間への関心」はメンバーとの関係性をどれだけ重視するかを示し、オハイオ研究の「配慮」、ミシガン研究の「従業員志向型」、PM理論の「M」に該当する。一方の「生産への関心」は、組織の成果や生産性をどれだけ重視するかを示し、前述の順に「構造づくり」「生産志向型」「P」にそれぞれ該当する。
マネジリアル・グリッド理論の結論としては、人間への関心も業績への関心も非常に高い「9.9型」のリーダーシップが理想とされる。至極ごもっとも、と言うしかない。
この論考は、過去の研究成果を踏まえつつ、リーダーシップの行動類型をマトリクス図によって可視化した点に功績がある。対象者のリーダーとしてのスタイルを評価し、理想的な姿に近づくための課題をわかりやすく示すことができる。
ただし、テストとしての客観性が担保されておらず、評価者の主観に振られやすいことには注意が必要である。また、その評価は単に「興味・関心の度合い」の測定結果であり、それが直ちに組織の成果やチームワークを約束するものではないことも認識しておく必要がある。

