2025-10-10 フィードラー理論
オーストラリアの心理学者フレッド・フィードラーが提唱したリーダーシップのコンティンジェンシー(状況適合)理論。彼が考案したリーダーシップのモデル「Least Preferred Co-worker」の頭文字を取って「LPC理論」と呼ばれることもある。
フィードラーは組織が成果をあげるためには、リーターが部下に接する際の「スタイル」と、リーダーが置かれている「状況」が適合していることが必要だと考えた。リーダーの好ましいふるまいを示す行動類型論に「状況」という新たな要素を組み合わせた考え方と言える。
この理論では、リーダーシップの「スタイル」は「低LPC型」と「LPC型」に区分される。これは、一番苦手なタイプの部下に対しどういう接し方をするか、という点に着目したものである。
・低LPC型:苦手な部下にあまり関与しない、言い換えれば仕事中心のタイプ
・LPC型:苦手な部下でも良好な関係を築こうとする従業員中心のタイプ
もう一つの要素、「状況」については3パターンが設定されている。
・リーダーとメンバーの人間関係の良好さ
・仕事内容の明確性
・リーダーの権限の強さ

フィードラーの結論は図の通りである。
低LPC型のリーダーは「仕事は明確でリーダーの権限が強く、上下の人間関係は良好」な場合と、逆に「仕事が曖昧でリーダーの権限が弱く、上下の人間関係も良くない」場合に好業績をもたらす。前者は組織の統制が取りやすくあまり気配りが必要ないため、後者は情を排して仕事中心に回さないと統制が取れないため、と考えられる。
一方、LPC型のリーダーはいずれの状況も中程度、と言う場合に成果を出す。人への配慮で組織の士気を上げることが、それぞれの状況要因を良い方向に向けることにつながるのであろう。
フィードラーは低LPCかLPCかといった人間の性質は生まれつきの部分が大きく、後から変えることは不可能ではないにしろ非常に困難であると考えていた。したがってリーダーたるべき者は自らがいずれのタイプであるかを知り、それが適合する状況に身を置くことが肝要であると説いた。その上司に向かって言うのなら、「適材適所の人事を行え」ということになる。

