2025-10-11 パス・ゴール理論

リーダーシップのコンティンジェンシー理論の一つ。必要な道筋(パス)を示して、部下の目標(ゴール)達成を助けるのが良いリーダーである、と主張する。リーダーシップの有効性は、リーダーのふるまいによって部下が動機づけられるかによって評価すべきだ、とし、リーダーシップを「動機づけ理論」と結びつけて考えた点に独自性がある。オハイオ研究の流れをくむロバート・ハウスにより提唱された。

(パスは「Path(小道・進路)」であり、サッカーなどの球技における「Pass」ではない。筆者は恥ずかしながら、長い間「上司がいいパスを出して部下がゴールを決める」という意味だと思っていた。)

ハウスは、リーダーが取りうる行動には「指示型」「支援型」「参加型」「達成志向型」の4つのスタイルがあるとしている。そして、これらのリーダーシップがそれぞれどのような状況下で有効に機能するかについては、「環境的条件」と「部下の条件」によって異なると主張した。

・指示型・・・目標達成のための方法やスケジュールを具体的に示す。環境条件としてはタスクが曖昧だったり、チーム内にコンフリクトがある場合、部下の条件としては自立性や経験値が高くない場合に有効。

・支援型・・・部下の状態に気遣いを示す。環境条件として、タスクが明確な場合、リーダーの権限が強い場合に有効とされる。

・参加型・・・決定する前に部下に意見を求める。部下の条件として能力や自立性が高く、達成意欲が強い場合に有効とされる。

・達成志向型・・・高い目標を示して部下に努力を求める。環境条件として困難で曖昧なタスクである場合、部下の条件として成長意欲の強い場合に有効。

パス・ゴール理論の結論としては、リーダーは部下に対する過度な干渉を控え、状況要因に照らして支援が必要な要素を「補完」する役割に徹すべきだ、としている。課題が明白だとか、部下の能力が高い場合にフォローを行うのは、不必要であるばかりか、かえって好ましくない成果を招くということである。

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