2025-10-14 カリスマ的リーダーシップ論

リーダーが持つ強い魅力や影響力によりメンバーを統率し、目標達成を促すリーダーシップを研究対象とする理論。バーンズの変革型リーダーシップ論を引き継いだバスの論考の中に「カリスマ」という要素があったことから本格化した研究である。

「パス・ゴール理論」のロバート・ハウスは、そもそもカリスマとはどのようなものであり、どこから生まれるものか、という問いに対し、下記3つのアプローチを提唱している。

・資質アプローチ・・・カリスマ性をリーダーの資質や特性の中に見出そうとするもの。自信や能力、他者に対する支配力といったことである。

・行動アプローチ・・・カリスマ性をリーダーの行動の中に見出そうとするもの。ビジョンや目標の提示、率先垂範、動機づけや励ましなど。

・フォロワーアプローチ・・・フォロワー(メンバー)の側からリーダーを見たときの認知のしかたや態度からカリスマ性を見出そうとするもの。共感や信頼、個人的な好意といったこと。

それぞれのアプローチには上から順に資質特性論、行動類型論、コンティンジェンシー理論の考え方が用いられており、ハウスの研究がこれまでのリーダーシップ論を踏まえたものであったことがわかる。

カリスマ的リーダーシップ論はハウス以降も多くの研究者によって引き継がれているが、いまだ定説と言える知見は得られていない。これまでの研究成果をざっくりまとめると、カリスマ的リーダーシップの因子としては、ビジョンの提示やメンバーへの配慮、環境に応じた資源配分といった一般的なリーダーシップ行動の他に、「個人的リスクや自己犠牲を顧みない」「奇矯で人目を惹く行動」などが挙げられそうである。状況的には組織の危機に出現しやすく、業績やメンバーの満足度を劇的に高める効果がある。一方でその力が私利私欲のために用いられたり、批判を許さない独裁支配に陥ったりというリスクも大きいとされる。

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