2025-10-15 組織文化

組織メンバー間で共有された価値や信念、ルール、あるいは習慣となった行動パターンの総称。言い換えればその組織の「らしさ」を形作るものである。「組織風土」との切り分けは難しいが、風土はその組織に深く浸透して変えることが難しいもの、文化はやり方によって変革や開発が可能なもの、と言う理解でいいと思う。

組織文化研究の第一人者であるアメリカのエドガー・シャインは、組織文化を以下の三層構造で説明している。

レベル1:人工物

組織構造や作業手順、社内行事やセレモニーといった目に見える要素。観察が可能な表層的なもの。

レベル2:標榜されている価値観

組織が公式に掲げる理念や行動指針、それらに裏付けられた組織内の人間関係やコミュニケーションのやり方などのソフト的な要素。レベル1の背景にあるもの。

レベル3:基本的仮定

組織のメンバーが無意識に当たり前だと信じている信念や価値観の要素。その組織にとっては議論の余地がないもの。

シャインによれば、レベル3の基本的仮定こそが組織文化の核であり、強固に共有された前提があるからこそ人々は不安なく活動することができる。これは、組織目標に対する一体感を高め、業績とメンバーの満足感の両方を満たすために重要な役割を果たす一方、同調圧力や思考様式の均一化、組織の硬直化といったマイナス面をもたらす部分でもある。

基本的仮定への挑戦はメンバーに不安や防衛本能を生じさせるため、組織に混乱と反発を引き起こす 。しかし、組織が内外の環境変化に適応し、持続的な成果をあげていくためには、組織文化の変革がどうしても必要になる場面がある。そのときには、表面的な組織変更や社員教育に止まらず、この最も深い部分を揺さぶる勇気を持たねばならない。