2025-10-20 組織変革への抵抗(費用面)

組織が危機的な状況を迎え、変革の必要性が生じても、実際には実現に至らないことがある。変革への抵抗について費用面から考察する。

・埋没費用(サンクコスト)・・・変革のコストの典型は埋没費用(サンクコスト)である。これは事業活動に投資した資金のうち、中止や撤退をしても戻ってこない費用を指す。この費用は、その活動が継続されている限り「投資」であるが、これを捨てて新しいことを採用しようとした途端、「損失」として認識しなければならなくなる。これを「もったいない」と感じる気持ちが合理的な判断を妨げ、変革への抵抗が生じる。いったん手がけた事業が軌道に乗らなくてもやめられないケースなどが典型的である。

・既得権益・・・組織の内外には既得権益を有するさまざまな利害関係者が存在する。彼らは組織の現状を変えるような変革でその利益を失うことを恐れ、強い抵抗を示す。組織内であれば業務プロセスや人員配置の変更により、これまでサラリーに対し比較的割のいい仕事をしていたメンバーがその利益を失う可能性がある。直接お金に響かなくても、それまでの地位や権限を失うということもあるかもしれない。外部であれば、ある仕事をやめることによりこれまでの商売を失う取引先が出てくる。それが彼らにとって死活問題であれば、あらゆる手を使って変革を阻止しようとするはずである。