2025-10-23 組織変革の必要性の認識

組織変革が行われるためには、まずトップマネジメントによって変革の必要性が認識されなければならない。そのためには、自組織の従来からの手続きによって加工・意味づけされた情報ではなく、さまざまな解釈が可能な「生の情報」を入手し、トップ自らの責任でそれを解釈する意志が必要である。生の情報を獲得し、効果的な解釈を行うための要件は、次のようなものである。

・スラック(余裕)資源の保有・・・変革のために利用可能な人や資金を準備すること。組織が通常業務で汲々としている状態では、多様な解釈をする余裕がなくなる。

・情報源への直接アクセス・・・生の情報、すなわち顧客や仕入先など外部の利害関係者と直接会って話を聞くことが、新たな解釈を行う契機になる。業界動向を最新のデータで検証したり、有識者の話を聞くといったことも有効である。ひとつの知識がある業界内でのみ使われる、といったことはすでに稀な時代であるから、他業界の知識や事例に触れるのも良い。

・自組織の既存の枠組みでは処理しきれない環境変化が生じていることを認め、それらを多面的に解釈する。できれば一人で考えず、複数のメンバーで意見交換を行う。

ドラッカーは、「トップマネジメント自身が外へ出て、よく見、よく聞くこと」を繰り返し推奨している(「イノベーションと起業家精神」)。彼は、組織というものは、常に変化を機会ととらえ、自らも変わっていかなければ存在意義を失う、と考えていた。組織変革の活動が中途半端に終わるのは、多くの場合、トップの覚悟と率先垂範の姿勢が不足してるからである。