2025-10-27 人的資源管理

経営がつまるところ成果を出すための資源展開だとすれば、人的資源管理は経営の最も重要な要素の一つと断じて差し支えない。他の経営資源、たとえば資金や設備は誰でも同じものが調達可能であるが、人は一人ひとりの個体差が大きい上、それぞれが環境や育成方法によって変化する。組織が自らの特徴や差別化要因をかたちづくるのは、人的資源をどう取り扱うかに依るところが大きい。

人的資源管理とは、組織の目的を達成するために、現在から将来にかけて必要となる人材の資質や能力、人数を予測し、それを満たすことを目的とした諸活動の総称である。大きく分けて、以下の4つのシステムから構成されていると考えられている。

・評価システム・・・人をどのような観点と尺度で評価するか。

・採用・配置システム・・・どのような人を調達し、どんな仕事を与えるか。

・報酬システム・・・人が生み出した成果にどう報いるか。

・能力開発システム・・・求められる能力の開発をどのように動機づけ、支援するか。

人的資源管理を取り扱う部署を人事部ではなく「HR(Human Resources)」と呼ぶ企業が増えている。合わせて、従来の機能を抜本的に見直し、専任の役員(CxO)を置いて体系的な人材戦略を再構築しようとする動きも強まっている。これは、人材をカネやモノと同じように「資本」として取り扱い、会社の評価の中に盛り込もうとする政策(人的資本情報開示)の影響もあるが、そればかりではなく、事業の再構築やAI技術の進展によるホワイトカラー業務の再定義、外国人従業員の増加といった複数の環境変化が、企業に対し不可避的に要求する対応と考えられる。