2025-11-11 役職定年制度
ある一定の年齢(一般的には50代後半から60歳)に達した役職者が、その役職を退いて別の職位・ポストに就く制度。多くの場合、別の部署に異動したり、部下を持たない専門職として処遇され、より専門性を生かせる仕事に専念したり、後進の育成を行ったりする。定年が法律で60歳以上に延長されたことに伴い、人件費抑制と若手の登用促進を目的に、1990年代以降急速に広まった。
企業の側にしてみれば、定年年齢が伸びれば人件費がかさむばかりであり、どうにかやりくりをしなければならない。管理職ポストにいつまでも居座られては若手が経験を積む場もなくなる。組織の新陳代謝を考えればやむを得ない措置であろう。
しかしながら、経験した立場からコメントさせてもらえば、役職定年は、対象者のモチベーションをひどく下げる制度である。
役職手当がなくなるのはもちろんのこと、給与や賞与そのものも大幅に減額される。昇進や昇格はありえないし、結果を残してもあまりいい評価をもらえない(評価制度自体が役職定年者に対してはあまり極端な評価にならないよう設計されていることが多い)。これまで出ていた会議やプロジェクトからも外され、昨日まで部下だった人間からさん付けで呼ばれる。これでは飼い殺しであって、この日をもって定年退職を宣言されたほうがよほどましだと感じたものである。
そもそもある人がある年齢に達した瞬間、能力が70%に落ちるといったことはありえない。職能主義を採用しながらそういう処遇をするのは理に反する。職務主義ならなおさらである。ご意見番的な楽隠居の仕事をしたい人もいるだろうが、それはそれ、多様な働き方を容認する中で処遇していけばよい話である。
こうした気分を感じているのは筆者だけではないらしく、近年は組織モラールの低下を理由に役職定年制度を廃止する企業が増えているらしい。この話も本当のところ、少子高齢化による若手の採用難で「シニアを楽隠居させていては仕事が回らない」という理由のほうが大きいのではないかと筆者は考えている。

