2026-4-7 マスカスタマイゼーション

Mass Customization。「大量生産(マスプロダクション)」と「個別受注生産(カスタマイゼーション)」を組み合わせた生産方式を指す。部品のモジュール化等によって大量生産のメリットを享受しつつ、顧客の注文に応じて最終製品を個別に組み立てる仕組みである。リレーションシップマーケティングにおける「個別対応(1 to 1マーケティング)」を実装するために欠かせない「一見多品種少量」の生産方式である。

少品種の部品で幅広い製品バリエーションを生産する必要があるため「群設計管理」と言われる体系的な設計思想が必要になる。また、個別に異なる製造指示に対する柔軟な生産体制の構築も不可欠であり、設計から生産に至る一連の工程でIT技術の活用が必須の条件になる。

少し古い例になるが、デルコンピューターのPCは顧客のカスタマイズ注文に応じて短納期で組み立て、出荷するビジネスモデルで一世を風靡した。また、自動車業界ではフレームやエンジンは共通化し、内装・オプションを顧客の要望に合わせて仕上げる方法が昔から行われている。

筆者が長く務めた繊維メーカーでは、織物の部品である「糸」を共通化する取り組みがずいぶん昔から行われていた。ところがこれが、いざ実務に落とそうとするとなかなか難しい。顧客は(それが実際に織物の性能にどの程度影響するかに関わらず)使用する糸のわずかな違いを差別化要素として要求するため、糸種の統合はなかなか進まなかった。だからと言ってあまり強硬に統合を進めようとすると、今度は自社の競争力そのものを削ぐことにつながりかねない。マスカスタマイゼーションを取り入れようとするメーカーは、自社の競争戦略のグランドデザインを描いたうえで、顧客価値の最大化とコスト効率が両立するポイントを見つけ出すという、難度の高い作業に取り組まなければならない。