2026-4-19 サービス・ドミナント・ロジック
Service Dominant Logic。S-DLと略される。経済交換、すなわちビジネスの基本単位は「サービス」であり、製品(モノ)はサービスを提供するための媒体に過ぎない、とする考え方。従来のグッズ・ドミナント・ロジック(G-DL)が「価値を作る主体は企業であり、顧客はそれを受け取るもの」という一方向的な考え方を取るのに対し、S-DLでは、「価値は顧客の利用過程で生まれるものであり、企業と顧客が共につくり出すもの」と理解される。「インタラクティブ」や「パーミッション」といった考え方と相性が良く、近年マーケティングの世界において新たな潮流となりつつある。
S-DLに近い考え方は古くから存在する。よく知られているのは「顧客はドリルでなく、穴をあける方法を求めている」という例えである。これは、ドリルというモノ自体ではなく、その利用体験が価値である、というビジネスの本質を言い当てている。S-DLはこの考え方を発展させ、体系化したものと理解してよい。最初に提唱したのはアメリカのマーケティング研究者であるラッシュとバーゴであり、2004年の論文が初出とされている。
S-DLは顧客を受動的な存在から「能動的な価値共創者」に転換させた。この考え方は自社製品の用途や使い方まで指定する従来型のマーケティングに180度の転換を強いたと言える。すなわち、企業はあくまで機会を提供する存在であり、使い方は顧客の自由である、というスタンスである。例えば「第三の場所」であるスターバックスは、「一人でリラックスする場所」、「仕事をする場所」、「おしゃべりを楽しむ場所」といったように、顧客によってさまざまな使い方をすることができる。スターバックスはそれについて何も言わないし、提案するとしてもせいぜい「こんな楽しみ方もありますよ」といったティップス程度である。

