2026-4-21 オペラント資源

知識やスキルなど、目に見えず、触れることのできない経営資源である。効果を生み出すために操作が施される、無形で動的な資源とされる。他の資源に影響を与えるとともに、時間とともに自らも変質し、あるいは増減する。ちなみに英語のオペラント(Operant)は「操作的な」という意味の形容詞であり、行動がその結果によって強化、または弱化されるような行動に対して用いられる。モチベーション理論のところで「オペラント条件づけ」というテーマで書いたこともあるが、覚えている方がどの程度おられるか・・・。

通常言われる経営資源である「ヒト、モノ、カネ、情報」のうち、「モノ」と「カネ」はオペランド資源(有形で静的な資源)であるが、「ヒト」のうちフィジカルな労働力でないもの(人の持つ知識やノウハウ、あるいはそれらが組み合わされた組織力など)や、「情報」はオペラント資源である。近年はバランスシートに表現することができない「無形資産」や「知的資産」といった考え方の重要性がよく指摘されるが、オペラント資源はこうした概念と極めて近い。

サービス・ドミナント・ロジック(S-DL)の考え方では、商品は企業の知識が詰まった「オペラント資源の運び手」である。その、企業の知識が「顧客」という別のオペラント資源と出会い、解釈され、変化して個別の体験という価値を生む。そこでは商品そのものに価値があるわけではなく、商品を媒介として企業と顧客が共創した「サービス」にこそ価値があるのであって、だからすべての経済交換はサービスだと定義できる、というのがざっくりしたS-DLの論法である。

S-DLは比較的新しい理論であり、まだ十分に検証されたものとは言えない。これをていねいに解説した書籍やサイトもまだ少ない。しかし、マーケティングに対するスタンスとして、商品そのものやその機能的価値だけに焦点をあてる手法がもはや通用しないことは、実務家なら皮膚感覚として理解できるはずである。何かがズレている。S-DLはそのモヤモヤ感に一筋の光を当てる可能性を秘めていると、個人的には思っている。