2026-4-24 ソサイエタル・マーケティング
Societal Marketing。社会全体の幸福や福祉の向上を目指す、社会志向型のマーケティングである。消費者運動や環境問題への関心の高まりを背景に、従来型のマーケティングが短期的な売上志向に偏り、社会への副作用を軽視してきたことの反省を踏まえて生じてきた概念と言える。単に「社会的に意義がある活動」というという意味ではなく、マーケティングの中心的な命題である「顧客ニーズの充足」を果たしつつ、社会全体にとってプラスとなる価値を生み出すという考え方であり、マーケティング活動によって得られる収益を否定するものではない(むしろその良き活動を持続可能なものにする原資、という意味で積極的に肯定される)。
以前に述べた「ソーシャル・マーケティング」が個人やコミュニティに直接働きかけ、公共の利益のために彼らの行動変容を促すことを目的とするのに対し、ソサイエタル・マーケティングは自社の製品・サービスを通じて社会全体の幸福を追求するものである。
企業のマーケティング活動において、今やソサイエタル・マーケティングは中核的な要素である。製品の設計、調達・製造方法、販売や物流など企業活動全般において、社会的・環境的影響を考慮することが求められている。ドラッカーは世間が企業に対して要求する社会的責任を「成功の代償」と呼び、社会をより良くしていく力を期待できるのは今や公的機関ではなく、企業しかないのだと述べた。それは「良き意図の表明ではなく、戦略に組み込まなければならない」と予言されたのだが、その時代がいよいよ到来したということであろう。

