2026-4-25 相違点連想と類似点連想
マーケティングにおいては基本的に、他社製品との「違い」を際立たせることの重要性が強調される。実際に消費者の購買意思決定は、それが機能面であれブランドイメージであれ、その製品のユニークさに左右されることが多い。この、ある製品やブランドが競合とは異なるという認識のことを「相違点連想」と呼ぶ。
一方、他の製品やブランドと「同じ」特徴に関する連想を「類似点連想」と呼ぶ。こちらは競合他社の製品と比較して遜色ない、あるいは最低限必要な属性は満たしている、という認識のことを言う。相違点連想を訴える前に、自社製品が消費者の類似点連想を獲得していなければ、その製品はそもそも競争の土俵に立つことができない。
類似点連想の類型として、「競争的類似点連想」という考え方もある。これは競合の「相違点連想」を打ち消すことを目的に構築されるブランドイメージで、相手が強く押し出している独自性を「まあウチの製品にもありますけどね」という形で中和させてしまうものである。自社製品が訴求すべき相違点は別にあるので、あくまでさりげなく「そこは同じ」感を出すのがポイントである。大きな差がなければ多少負けていても構わない。
中小企業にとっては、「類似点連想」をクリアーしつつ、いかに尖った「相違点連想」を構築できるかが基本的な戦略になる。だが、話はそこで終わらない。いったん独自のイメージ構築に成功したとしても、競合他社、特に経営資源の豊富な大企業は「競争的類似点連想」を仕掛けてくる。そのとき訴求してくる新たな相違点は多くの場合、機能やデザインではなく「価格」である。「売れ筋のアレとほぼ同じものがこの値段で買えますよ」というこのやり口にどう対抗するか、経営者は初めからそこまで考えを巡らしておかねばならない。難しいことだが、二の矢、三の矢のセオリーが存在しないわけではない。

