2026-5-1 顧客育成
潜在的な顧客、あるいは既存の顧客に対して継続的にアプローチを行い、自社製品に対する関心度や購買意欲を高める一連の取り組みを言う。英語で「育てること」を意味する「ナーチャリング(Nurturing)」という言葉で言い換えられることもある。
顧客育成には当該顧客が位置するステージによって次のようなプロセスがある。
1.見込み客・・・まだ取引のない潜在的な顧客である(「手がかり」という意味の「リード(Leads)」と言い換えたりする)。自社製品を目にする機会を増やし、情報を与えることによって関心を高め、実際の購入につなげる。
2.既存顧客・・・首尾よく一度でも購入してもらえば既存顧客である。アフターサービスなどのコミュニケーションで信頼関係を深め、今度は繰り返し購入してもらえる「リピーター」への転換を目指す。
3.リピーター・・・自社製品に対して一定の愛着を持ち、繰り返し買ってもらえるようになった顧客である。他社への乗り換えが起こらないよう、継続的な情報提供や特典の付与で囲い込みを行うとともに、付帯サービスやアップグレードを提案する(クロスセル・アップセル)。
4.クライアント・・・競合他社よりも自社を強く支持してくれるようになった顧客である。企業側も顧客側もお互いのことをよく知った間柄の「相思相愛」の関係と言える。企業側からは特別な顧客として扱われ、顧客のほうもここまで来ると簡単には離反しない。
5.信奉者・・・自社製品の熱狂的な支持者、いわゆるファンの人たちである。製品の良さを自ら進んで他の人に拡散してくれる伝道師でもある。最終的に信奉者を一定数育成することができれば、企業は堅固な収益基盤と格安なプロモーションシステムを入手することができる。
マーケティングの実務としては、それぞれの段階にある顧客層に個別のアプローチを行うことが理想ではある。最近はAIやSNSを活用してかなりきめ細かい対応が可能になってきたが、少し以前には予算や人手の制約もあり、「ここ」という層を選んで重点的にコミュニケーションを取りに行くことが多かった。どの段階の顧客層を選ぶかは、自社製品のポジショニングやライフサイクル上のステージ、競合製品との関係性などから総合的に判断していくことになる。

