2026-5-2 パレートの法則

ご存じの方も多いであろう。全体の結果の80%が原因の20%から生じているという傾向を示す経験則である。80対20の法則とも呼ばれる。あくまで経験則であり、確固としたエビデンスに基づく理論ではないが、実務上の肌感覚にフィットする場面が多いので広く知られている。

ビジネスの世界でも在庫分析や品質管理などに幅広く用いられているが、マーケティングの文脈におけるパレートの法則は「全体の売上(または利益)の80%が上位20%の顧客によってもたらされる」という意味になる。顧客を均質的にとらえて同じ対応をするのではなく、むしろ個々の顧客の収益性の違いを認識してアプローチの仕方を変えようという「顧客生涯価値(LTV)」や「顧客シェア」の考え方は、このパレートの法則も根拠の一つになっている。

実際、上位の優良顧客を優遇する施策はあらゆる業界で観察することができる。購入額に応じたクレジットカード会員のランク付けや、百貨店の外商などがその最たるものであろう。逆に、80%に属する収益性の低い顧客はそれなりのサービスしか受けられない。銀行が長い間使われていない預金口座から手数料を取るようになったのは2021年のことである。

企業にとってパレートの法則は、限られたリソースをどこに集中させるべきかを見極め、成果を最大化するためのツールとして極めて有用である。もちろんすべての企業で顧客の仕分けが80:20になるわけではない。90対10とかとか、97対3ということだってあるだろう。顧客を分析し層別に分解する伝統的な手法としては、以前に述べたデシル分析やRFM分析がある。今ならある程度の顧客データさえあれば、AIを活用し、自社が重視する指標を反映させた優先度リストが比較的簡単に作成できるはずである。

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