2026-5-6 マインドシェア
消費者がある特定のカテゴリーの製品を思い浮かべるときに、どのブランドが頭に浮かぶかを示す概念である。市場シェアが文字通り、市場の中である製品の売上が占める割合を示す「市場占有率」であるのに対し、マインドシェアは消費者の「心の占有率」だと言うことができる(そういえば、プロスポーツの世界にも「記録より記憶に残る選手」という表現がある)。
消費者が購買の意思決定を行う際のブランドの存在感を定量的に把握するための指標であり、消費者調査やアンケートなど、一定数以上の消費者を対象にした調査によって測定される。手法としては、消費者に手掛かりを与えずブランドを答えてもらう「純粋再生率」を用いることが多い。自社製品を最初に答える人が多ければ(「純粋第一再生率が高い」と言ったりする)、その製品はマインドシェアが高い、と判断することができる。
マインドシェアが高いブランドは、広告費をさほど投入しなくても自然に選ばれやすく、価格競争に巻き込まれにくい傾向がある。コカ・コーラやリーバイス、アップルなどをイメージしてみると良い。もっとも、これらのブランドは市場シェアも高いのだが、実は「マインドシェアは高いのに市場シェアはそうでもない」というブランドも数多く存在する。市場シェアは知名度だけでなく、営業力や流通チャネルのパワーなど、他の要因も加わって決まるからである。例えばテスラはEVのカテゴリーで圧倒的な知名度を誇るが、量産体制や販売網の制約から市場シェアはわずかである。
マインドシェアは、高い市場シェアと両立が可能な場合には、ある種の「参入障壁」として機能させることができる。企業にとっては理想的な状態といえそうだが、相応の資金力や人材が必要であり、現実的には大企業でなければ難しい。一方、ブランドイメージを先鋭化させ、ある意味「聖域」にしてしまうことであえてシェアを追わず、高利益を追求する戦略もありうる。経営資源に制約がある中でブランディングの必要に迫られている多くの企業にとっては、こちらの方が有力な選択肢になろう。

