2026-5-7 ハートシェア
消費者が製品やサービスを購入しようとするときに「買いたいブランド」として挙げられる割合である。マインドシェアが「知名度」の指標であるとすれば、ハートシェアは「好感度」の指標であると言うことができる。
両者は必ずしも相関せず、マインドシェアが高いからといって必ずしもハートシェアが高いとは限らない。清涼飲料水と聞いて真っ先に思いつくのはコカ・コーラだが、自分はペプシのほうが好きだ、という人はいるものである。当然ながらハートシェアが高い商品は、単に知っているだけの商品よりも、実際の購入には結びつきやすい。
もっとも、マインドシェアが低く消費者に思い出してもらえないブランドは、ハートシェアを測定することすらできない。もともと知らないものに好きも嫌いもないのである。実務上ハートシェアが云々されるケースは、「好きな人は熱狂的に好きだが、母集団が圧倒的に小さい」というマニアックな商品に関する場合が多い。一部の人にしか伝わっていないにしろ、熱狂するファンがいるということはそれなりの良さがあるはずであり、それをより多くの人に伝えたい。そうすればもっと売れるはずだ。と、マーケターに対するこういう要望は意外と多い。
対応としては多くの場合、ファンにインタビューを行って、彼らに何が刺さっているのか、その要素を抽出していくことになる。「自分たちだけにしかわからない」というある種の優越感がブランド力の源泉である場合も多いから、むやみにマス化する施策は難しいが、本質的な良さがマーケター自身に理解できさえすれば、それを希釈することなく広めていく手法はあるものである。
なお、マインドシェアとハートシェアは、市場シェアの先行指標だと言われている。「知名度→好感度→市場シェア」の順だと考えれば、なるほど何となく腑に落ちる。

