2026-5-19 ガルブレイスのスターモデル

ジェイ・R・ガルブレイスは「組織デザイン」の分野における世界的な権威として知られる。彼はバーンズとストーカーの「コンティンジェンシー(状況適応)理論」~組織には唯一絶対というものはなく、置かれた環境によって求められる組織は違うのだという考え方~を発展させ、「ならば組織を環境に合わせていくには具体的にどうするのか」という点に研究の方向を向けた。その成果の一つが「スターモデル」である。

ガルブレイスは「組織図を書き換えるだけでは組織は変わらない」と考え、「戦略」「構造」「プロセス」「報酬」「人」という5つの要素を整合(アラインメント)させることが重要だと説いた。

常に星の頂点にくるのは「戦略」である。他の4つの要素はすべて戦略を実現させるために設計されるべきものであり、戦略が変われば星の形状そのものが変わる、という考え方になる。

また、図からおわかりの通り、各頂点は線で結ばれており、これは「どこか一つを変えれば他の全ての要素に影響が及ぶ」こと意味している。戦略に合わせて組織構造を変えるのなら、必要なスキルを持った人や評価制度(報酬)を上手に組み合わせなければならない。仕事の流し方(プロセス)も同様だ、ということである。

当ブログを継続的に読んでおられる方ならお気づきであろうが、この図は「マッキンゼーの7S」モデルとよく似ている(実は発表された時代もかなり近い)。違いは、マッキンゼーのほうは図の中心に「共通の価値観」を置いている点である。こちらの方は「戦略や構造をどんなに整えても、文化が変わらなければ組織は動かない」という思想が根底にあり、組織がうまく動かないときに「どこが悪いのか」を判断する診断ツールとして優れていると言われている。一方のスターモデルはいったん人に気持ちから離れて(あるいは「みんなの気持ちはそろった」という状況を前提に)、組織をどうデザインしていくか、というところに焦点を当てている。いわば「設計ツール」としての使い方である。

例えばリスクを取って新規事業に乗り出す企業があったとしよう。なかなかうまくいかない。どうやらトップが「失敗は許されない、責任は取ってもらう」と公言しているらしく、せっかく作った部署が委縮して機能しない。このような場合、7Sならばまず「失敗を許容しない価値観」に原因があると考える。スターモデルではこれを「リスクを恐れない人を調達する」や「業績結果とは違う基準の報酬制度を作る」といった課題として手を打っていくことになる。支援者としてはどちらのアプローチが望ましいか。ケースバイケースではあろうし、両方できれば理想的だが、コンサルによってタイプが分かれそうな気がする。

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