2026-6-1 デカップリング

ここでは最近よく使われる「地政学上の分断」ではなく、制度派組織論における用語の意味で取り扱う。

パウエルとディマジオは組織の生存戦略として「デカップリング(分離)」という言葉を使っている。世間体や、根拠に乏しいプロ意識によって外見をしつらえた組織は、しかしそれだけでは回らない。そこで組織は、外部に見せるための制度とは別に、現場が実際に業務を回すための仕組みを作って運営するケースが多いというのである。それがデカップリングである。前回に倣って個人レベルの話に寄せると、これは「本音と建前」という概念に極めて近い。

当てはまりそうな事例はいくらでも思いつく。「額縁の中だけの経営理念」「形だけ書類を整えるコンプライアンス部門」「ISOはあるが現場は見たことがない」「基幹システムに入力するデータは一つずつエクセルで作成」・・・。日本企業あるあるのように思えるが、アメリカ企業の研究者が言うのだから彼方でもあることらしい。

外向けの「礼儀作法」はきっちり守りながら、内側の「実利」もしっかり追及する。いかにも人間臭い器用なことを組織もやっている、というのがこの理論の面白いところである。小難しい組織論も何となく身近に思えてくる。

しかし一方で、制度派組織論には弱点もある。この理論は「同型化」を強調するあまり、なぜイノベーションが起きるのか、なぜゲームチェンジャーが現れるのか、といった問いには答えにくい。なので、シュンペーターやバーナード、ワイクといった変化説明型の理論とセットで、多面的な理解のために語られることが多いようである。

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