2026-6-18 実践論的転回が導くパラドックスの解消②
現場がルーティンを日々忠実に再現してしまうのは、それを支える「資源」がそのまま残っているからである。資源とは、例えば業務プロセス、ツール、評価制度、組織構造、あるいは時間や空間である。
例えば上層部が「これからはイノベーションだ、新規提案をしろ」と言いながら、現場の評価軸が「減点方式」のままであったり、日々の業務報告ラインが従来のままだったりする。変なことを書けば直属の上司に減点されるのだから、現場は「新規提案をしない」という実践を繰り返すことでしか、その構造に適応できないことになる。
それではどうすればいいかと言えば、ルーティンを断ち切るには、現場の行動を支えている資源を物理的に取り上げる、あるいは変えることである。例えば、報告のためのフォーマットを変える、報告ルートを変える、評価制度を変える、オフィスのレイアウトを変えて違う人間と接するしかない状況を作る、といったことである。
これらはまさにラトゥールが提唱した「アクターネットワーク理論(ANT)」にドンピシャの組織変革手法である。ANTの理論は、せんじ詰めれば「非人間(モノ)もエージェンシー(作用力)を持つ」ということである。現場を縛っているのは人間の意志ではなく、例えば「報告フォーマット」という非人間アクターなのである。組織を変えるとは、資源(モノ)のネットワークを入れ替える、ということに他ならない。
<関連記事>

