2026-6-19 実践論的転回が導くパラドックスの解消③
ガルブレイスが提唱した組織デザインの古典「スターモデル」も実務で使いやすいフレームワークである。以前紹介したが、スターモデルは5つの要素「戦略」「構造」「プロセス」「評価・報酬」「人」が星形に組み合わされた概念図である。例えば「戦略(こちらに進むんだ、という変化の方向性)」だけを動かしても、「プロセス(報告フォーマットや業務ツール)」「評価・報酬(チャレンジを評価し報酬を与える制度)」が連動していなければ、組織という「星形」は歪み、機能しない。まさに「資源を組み替える」ことの重要性を説いたモデルであり、自組織のどこに手を入れなければならないかを視覚的に理解する助けとなる。
もう一つ、ベッカードの「変革の方程式」も覚えておいてよい。これも以前に紹介したが、
D×V×F>R
というものである。どれだけ危機感を高め(D)、魅力的なビジョンを掲げても(V)、最初の一歩(F)が途方もなく高く、あるいは複雑に見えるなら、掛け算の合計は抵抗(R)を上回ることができず、結果はゼロ、組織は何も変わらないことになる。
「明日から変わるんだ、意識を変えろ」と言われたら、現場にとってFは巨大な壁となり、抵抗Rの勝ちである。しかし、「フォーマットを工夫してくれたんだね。すごくいいから、明日からこれをみんなで使おう」なら、Fは既に現場の実践に組み込まれたエージェントである。ジム・コリンズの名著「ビジョナリー・カンパニー」にある「弾み車」の効果も期待できよう。経営者がまずやるべきことは、最初の一歩(F)のハードルを極限まで下げてあげることである。
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