2026-6-20 クリニカル・アプローチ
組織開発の第一人者であるエドガー・シャインが提唱した「クリニカル・アプローチ」は、コンサルタント自身がクライアントである組織の内部に深く入り込み、身体感覚や暗黙知を引き出そうとするコンサルティング手法である。これもまた、「実践論的転回」の潮流に位置づけられるアプローチと言える。
シャインはまず、組織を研究・分析する手法は2つに大別できるとした。
・認知的・学術的アプローチ・・・外部の調査者が、アンケートやインタビューなどを通じて客観的なデータを集め、統計学的な手法を用いて分析する手法。
・クリニカル・アプローチ・・・クライアント側から「助けてほしい」「変革したい」と言われて初めてスタートする手法(「クリニカル=臨床的な」、というネーミングの由来である)。
シャインは組織の本音や奥に潜む力学、暗黙知などを引き出すには後者のアプローチが適していると主張し、次の3つの概念を提唱した。
・プロセス・コンサルテーション・・・コンサルタントは「答えを持っている専門家」ではなく「問題解決のプロセスを支援する伴走者」であること。
・ヘルピング・・・コンサルタントとクライアントの関係は「対等なパートナーシップ」であること。上からの助言でなく、組織が自律的に動けるよう支援(ヘルピング)すること。
・「深層」へのアクセス・・・シャイン自身が提唱した「組織文化の3層モデル(人工物、標榜されている価値観、基本的仮定)」のうち、最下層の「基本的仮定(暗黙知)」まで切り込むこと。
コンサルティングの世界で「伴走型」や「ハンズオン」が叫ばれて久しいが、未だに昭和のコンサルタントのごとく「これが正解です、この通りやりなさい」とおっしゃる先生方もおられるやに聞く。非常に基本的な知識の伝授ならそのやりかたが通用する場面もあるかもしれないが、変化が激しく複雑な現在のビジネス環境において、絶対的な正解を持っている人など誰もいない、というのが本当のところである。正解と称する策自体が的外れであるか、たとえ本当に正しくても組織の抵抗にあって引き下がらざるを得なくなる、というオチは見えている。
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