2026-6-21 クリニカル・アプローチと知的コンバット
野中郁次郎のSECIモデルにおいて、組織的な知識創造の出発点は「共同化」、つまり身体感覚や暗黙知を共有するプロセスであった。そして、共有された暗黙知を言葉にしていく(表出化)のために、お互いの信念や価値観をぶつけ合う「知的コンバット」が必要だとされる。
シャインのクリニカル・アプローチと知的コンバットは非常によく似ている。
・形式知だけではわからない・・・クリニカル・アプローチは従来の認知的・学術的アプローチに対するアンチテーゼである。アンケートの数字をいくら眺めても組織の本質はわからない。人と人が深くかかわるプロセスの中でしか、本当に価値のある暗黙知(基本的仮定)は出てこない。
・心地よい対話ではない・・・シャインのアプローチも単に優しいだけの伴走ではない。時にはクライアントが直視したくない「不都合な真実」を突きつけ、揺さぶりをかける「介入」を行うとされる。この緊張感を伴う対話のプロセスは、まさに知的コンバットである。
まとめよう。現場で人々が何となく「当たり前」としてやっていることにこそ、組織の命が宿っている。そこに関わらなければ、本当に組織を変えることなどできはしない。しかし、それには先生づらをして机上の空論をぶっていてはいけない。コンサルタント自身も当事者として傷を負う覚悟で伴走し、対話のリングに上がる必要がある、ということになるだろう。「全人格をかけて仕事に臨め」と言われているようで身が引き締まる。
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