2026-6-25 反射的実践者に必要な資質

そうはいっても反射的実践は難しい。いくら経営学の知識があり、何十年のキャリアがあっても、反射・即興的な反応が苦手なコンサルタントはこの世にごまんといる。むしろ、経験を積めば積むほど反射的な実践ができなくなる、という皮肉な罠さえ存在する。

人間は経験を積むと、「このときはこうすればいい」という独自のフレームワークが蓄積される。その人なりの「勝ちパターン」と言っても良い。このパターン、組織における「ルーティン」と同じで、情報の処理スピードを上げるのには大きな武器になるが、リフレクションにおいては致命的な弱点になる。

誰しも経験があることかもしれない。想定外のことが起きたとき、過去のデータベースから似たような事例を無理やり引っ張り出し、現場で起きている生々しい現象を自分の知っている「型」にあてはめて解釈、あるいは歪曲してしまう。たいていは心の中で「何か違うぞ」と思いながらだから、苦い記憶となって長く胸にとどまり続けることが多い。

なぜそんなことが起きるかと言えば、違和感を認め、その場でやり方を変えるということは、自分が最初に用意してきたプランが「通用しない」ことを自分で認めてしまうことだからである。そこには専門家としてのプライドや、「プロは間違ってはいけない」というマインドセットがある。

経験を積めば積むほど勝ちパターンのストックは増えるし、プロとしての立場や評判も上がっていく。反射的実践をそれこそ「実践」していくためには、こうした「型」や「プライド」に対する柔軟性というか、ある種のこだわりのなさが必要であろうと思う。自分の知識や経験などしょせん不完全であり、いつでも手放したり上書きされるべきもの。自分の立場や評判より、クライアントにとって役に立つかどうかが大事。こういう思考を最後まで貫けるかどうかが、プロのコンサルタントとしてのもっとも根本的な資質ではないかと思う。まちがっても「自分の正しさを証明するために」クライアントを実験台に使うようなことがあってはならない。

この、プロだからこその少し「引いた」感じは、ドラッカーの「知りながら害をなすな」という謙虚さにつながるものがありそうである。どんな世界でも、達人ほどその道の奥深さを知っている。

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