2026-7-4 チームの創造性

アマビールを読んでいると、創造性の発露に関する「個人⇔組織」という二層構造が見える。しかし現実の企業では、個人の創造性がいきなり組織全体に影響を与えることはほとんどない。実際には「個人⇒チーム(課・プロジェクト)⇒組織」という中間層が存在する。マイケル・ウェストはこの中間層たる「チーム」に注目した研究者である。

現実の企業において、イノベーションの主体は会社でも個人でもなく、数人から数十人のチームである。ウェストはこの、「創造性が組織へとスケールアップする場」としてのチームを研究対象とし、「チームはどうすれば創造的になれるか」を解きほぐしてみせた。

ウェストで特に重要なのは「目的/ビジョンの共有」である。つまり、チーム内で「これを何のためにやるのか」が共有されていることが出発点になる。次に「チーム内の知識/スキルの多様性」、更に「建設的な議論/異論」「参加安全性(今風に言うと『心理的安全性』)」という4つの要素が、ウェストの理論の骨格を成している。

実は今挙げた4条件は、アマビールの4要素である「内発的動機づけ」「専門知識」「創造的思考力」「組織環境」ときれいに韻を踏んでいる。並べてみよう。

<アマビール>    <ウェスト>

内発的動機づけ    目的/ビジョンの共有   

専門知識       チーム内の知識/スキルの多様性

創造的思考力     建設的な議論/異論

組織環境       参加安全性

ウェストはアマビールの「個人内の創造性条件」を「チーム内の相互作用条件」に翻訳したと見るとわかりやすい。つまり、アマビールは「自分の中で何が揃うと創造的になるか」を見ていて、ウェストは「メンバーの中で何が起きるとチームが創造的になるか」を見ているが、実は注目している部分は同じなのである。

ウェストの著作は日本でも翻訳されており、学術的というよりかなり実務色が強い。商品開発や新規事業開発を担当する方々には一読をお勧めする。

チームワークの心理学 – 東京大学出版会

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