2026-7-6 ウェストとセンスメイキング理論
ウェストが強調した「建設的な議論/異論」は、センスメイキング理論のカール・ワイクとつながる部分がある。
ワイクはセンスメイキング(意味づけ・腹落ち)を重視したが、これは一人で完結するものではない。「私はこう思う」「いや、私の知人はこう言っていた」「それならこっちの解釈のほうがあっていないか?」といった対話を通じて、チームとしての認識が磨かれていく。間違った地図で冬山から下山できたチームの中でも、このような会話が交わされたに違いない。
一方でワイクは、何が良い意味付けか、その意味付けにどうやって到達するのか、といったことにはあまり触れていない。もちろん対話やその相互作用、事象の解釈等については語っているが、現場で行われる「場の運営方法」にはさほど踏み込んでいないのである。
私見であるが、この部分を埋めているのがウェストなのではないかと思う。まずビジョンを共有し、誰もが自由に意見を言える場の中で、さまざまな視点からの建設的な議論が戦わされる。最後に「じゃあそれで行こう」と皆が腹落ちする。これは極めて高品質なセンスメイキングのプロセスである。ウェストは、ワイク自身があまり語らなかった「センスメイキングの実践法」を示してくれたというのが筆者の解釈である。
世の中にファシリテーションを教えるセミナーは山ほどあり、筆者も以前たくさん受講したが、ウェストの言うチームイノベーションの条件、例えば「目的/ビジョンの共有」「建設的な議論/異論」「参加安全性」といった要素を一つでも外した内容を聞いたことがない(もちろん講師によって用語や説明の仕方はそれぞれであるが)。それだけ「腹落ち」への王道だということであろう。
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