2026-7-7 成果を定義すること

ウェストのチームイノベーション理論に照らして筆者自身の管理職時代を振り返ると、最上流の「目的/ビジョンの共有」が最も弱かったと感じる。繰り返しになるが、これは「我々の仕事は何か」ではなく「我々にとっての成果は何か」という問いである。何がどうなれば我々の部署が全体に貢献したと言えるのか、それをいつ、どうやって測定するのか、といった根源的な部分について、筆者はあまり考えてこなかった。正確に言えば、自分なりには考えており、それを部署内に示しもしていたのだが、今考えればそれは筆者だけのアイデアであり、多面的な検証を受けたものではなかった。つまり、当時の部下たちと深く議論し、互いに腹落ちしたものではなかったのである。

成果など簡単ではないか、という人もいるかもしれない。営業なら売上や利益の目標があるし、製造現場ならコストや生産性を指標にすることができる。間接部門にしたって作業品質やスピードの測定は可能であろう。しかし、成果とはそれだけのことであろうか。

例えば「顧客の困りごとを解決して信頼関係が強まった」「自社が参入できそうな市場の隙間を見つけてきた」「部署内で皆が発言しやすい空気を作ってきた」といったことは、全て成果になりうる。場合によっては目先の数字よりも大事なものもあるだろう。問題はその部署の長がそれらを成果として認識し、あるいは会社に認めさせてきたかどうかである。今、当時の自分を評価するとすれば、残念ながら判定は「不可」である。

これをちゃんとやろうとすると、考えなければならないことは多い。世の中の流れや業界の趨勢、会社の進もうとする方向性といった部門外の環境認識から、自部門の役割と求められる成果を割り出さなければならない。かと思えば今度は中を見て、メンバーの適性やライフステージ、業務負荷の多寡から作業配分やスケジュールを組み立てなければならない。しょっちゅう上との調整をしながら、内部ではPDCAを回し、かつ士気を上げなければならない。

最終的には部下の評価に結びつける必要があるから、期初に定量目標以外の項目を設定するが、期末に上に上げるとその部分はバサッと削られて返ってきたりする。「営業成績以外は評価の対象にならない」と言うのである。ならば最初に言っておいてほしいが、それはその時念を押さなかった自分が悪い、ということらしい。ということで、今度は部下への説明に悩むことになる。

部署内のメンバーが見ているゴールのイメージが違うと、いくら努力しても成果には結びつかない。登るのは富士山なのかヒマラヤなのか。それをまず決めないと、準備するものも役割分担も決められないのである。

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