2026-7-8 ウッドマンの三層モデル

リチャード・W・ウッドマンのモデルは、アマビールの2層構造にウェストのチームレベルを追加し、「イノベーションの工程図」を完成させたものと言える。いわば「個人⇔チーム⇔組織」の三層モデルである。その意義は大きく次の2点に集約される。

一つは、アマビールが述べた「個人の要素」(内発的動機づけや専門知識、創造的思考力)、および「組織的な要素」(組織文化や報酬体系など)によって創造性が規定されるだけではなく、チームレベルの多様性や規範といった社会的な影響力によっても個人の創造性が影響を受ける点に注目したことである。

もう一つは、チームの構成員たるメンバー一人ひとりの創造性に制約を受けつつも、個人の創造性の総和とは質的に異なるものとしてチームレベルの創造性を想定し、上位の組織レベルの創造性に影響を与えうるとした点である。

つまり、中間層であるチームで発揮される創造性が、下位の個人レベルにも、上位の組織レベルにも影響を及ぼすとした点にウッドマンの独自性がある。もちろんチーム自体も上からと下からの影響を受けるし、更に言えば異なるチーム同士が相互に影響を与え合う、ということも想定される。したがって、イノベーションとは、三層構造の中で創造性が行きつ戻りつしながら次第に形になっていくもの、ということになる。概念図にするとこんな感じになる。

   組織
  ↗  ↖
チーム⇔チーム
 ↕    ↕
個人⇔個人

このように、3つのレベルで創造性を検討するという枠組みはその後の学術史で定着しており、以前に触れたISOも基本的にはこの考え方を踏襲している。一定規模以上の企業に所属する読者の方々にとっては、ある程度納得性のある理論ではないかと思う。

なお、最近の研究ではこの外側に「顧客」「他社」「研究機関」「行政」「地域」などの外部ネットワークを付け加えることが多い。近年よく語られる「エコシステム」や「オープンイノベーション」の概念である。

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