2026-7-14 イノベーションはなぜ難しいのか ~第2の壁~
・第2の壁・・・「人は変化より習慣を選ぶ」
人は慣れ親しんだ習慣を選ぶ存在である。昨日と同じ仕事は考えなくて済むからから楽である。昨日もうまくいったのだから今日それを変える理由はない。逆に、新しい仕事に取り組めば、疲れるし失敗もする。新しくやることについての説明もしなければならない。
センスメイキング理論を提唱したカール・ワイクは、人は客観的な事象ではなく「意味づけ」によって動くと言った。組織全体として必要とされる新しい取り組みであっても、実際にそれをやる人たちにとっても意味づけが「ルーティンのほうが得」であれば腹落ち感はなく、だから動くわけがない、というのがワイク流の解釈になる。
少し前に紹介したフォードの理論に従えば、本人に①それをやる「スキル」があり、②やってみたいという「興味」があり、③自分がやるべきだという「納得感」が揃ったうえで、なおかつ④「周囲の理解」が得られたときに、個人の創造性は発揮される。逆に言えば、この4条件が揃わないと人は新しいことに手を出そうとはしないのである。変化を求める経営者はまず、水場まで連れて行ったとしても飲まない馬がほとんどだ、という認識を持っておいたほうが良い。
人の本能に根差した部分であるからそう簡単には解決できないが、実務的には「まず一人を変える」ことを考えてみると良い。一定規模の組織であれば、変化の必要性を理解してくれる従業員が一人くらいいるものである。年齢や役職は関係ない。彼/彼女に経営者自らが語りかけ、腹落ち感を持ってもらう。前回述べたようなタスクと権限を与え、後ろから粘り強く応援する。そうして、一人二人と志を共にする仲間が増えるのを待つのである。
ほんとうはやるべきだ、と思っていても、周囲の同調圧力から言い出せずにいる「消極的賛同者」は思ったよりたくさんいることが多い。ファーストペンギンの勇気を見て飛び込んでくる2匹目が現れれば、3匹目、4匹目は意外と早い。
組織の変革には経営者の忍耐が欠かせないのである。
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