2026-7-17 私の機会探索ルーティン(マクロ)

マクロ分析と言えばまずは新聞である。筆者は日本経済新聞を毎日、全て記事に目を通す。新聞がオールドメディアと揶揄されるようになって久しいが、情報の正確性と網羅性において、これ以上効率的に情報が収集できる媒体は今のところない。筆者は数年前から電子版を使っている。紙面全体を俯瞰して大づかみにできる点では紙の新聞にも捨てがたいメリットがあるが、場所を選ばず隙間時間に読むことができ、一つずつの記事をきれいに保管できる点が電子版の良いところである。ゴミも出ないので気分も良い。

読むときは、ドラッカーの示唆に従って、「確定した未来」や「不可逆的なトレンド」「普遍的なニーズ」を探しに行く。一定期間の経済データが解説してある記事もたいてい保管する。1日の新聞で多くて5~6記事をスクショしてクラウドサービス(筆者の場合はエバーノート)に溜めておく。生地の要約や読んだ時の所感を短くコメントしておくと後で見返すとき便利である。

新聞以外のマクロ情報としては、朝か夜のテレビのニュース番組程度である。新聞よりも情報量は少ないが、同じ内容のニュースでも映像と音声だと理解が深まる。取り扱い方や論評の違いが多面的な思考を促すこともある。このニュース番組や、たまに見る情報番組で気になった情報・思考は、同じエバーノートにテキストで書き込んでおく。

これらを一定期間(筆者の場合は1か月サイクル)でまとめにかかる。やり方は非常にアナログで、A3の白紙に手書きで仕分けしていくのである。エバーノートは例えば「新聞」というノートブックを作ってそこにすべて放り込んでいれば、時系列やワードで検索が容易である。仕分けする区分は、私はSTEEP分析の項目を使っているが、PESTでも構わないと思う。100記事くらいの見出しを無心に書き込んでいると、その時間に「身体知」が積み上がり、後で勘が働きやすくなると筆者は信じている。

こうしてできあがった手書きの一表をお茶でも飲みながらじっくり眺めていると、この1か月の社会や経済の動きが血の通ったものとして伝わってくる。関連する記事を同じ色でマークしたり、矢印を引っ張って関連付けたりする。時間があれば先月やその前の表と見比べてみる。数か月も続ければ自分なりの「機会らしきもの」はいくつも発見できる。それなりに時間はかかるが、昭和の人っぽい、しかし「実践的転回」に即したやり方ではないかと思っている。

もちろん記事の選択には自分の主観によるバイアスがかかっている。捨てた記事の中に大きな機会が隠れていることもあるだろう。それはそれで仕方がない。ただ、自分の仕事に絡めてイノベーションのための「機会探し」をするのであれば、そのバイアスも意味がないとは言えない。興味がないところに自分が生かせる機会はない。

また、最近は1か月分の情報をエクスポートして生成AIに食わせ、いわゆる「壁打ち」をすることも多い。見落としていた視点や異なる意見が出てくると刺激になる。AIとの議論は楽しいが、彼らの答えは結局人間のほうに寄ってくる(このあたりの空気の読み方は人間以上のスキルではないかと思うことがある)。あくまで多面性を求めての作業なので、AIが同意したから自信を持つ、ということはしないほうが良いだろう。