2026-7-25 探索する組織はどう作るか

イノベーション研究の系譜にガルブレイスを持ってくるのは異論が多いかもしれないが、「ある戦略を成し遂げるための組織の設計図」だから全然的外れでもないと思っている。実際ISO56000には、スターモデルに近い言葉や概念が数多く登場する。目的に向かって各要素を整合(アライン)させるという思想も同じである。単独の要素、例えば人だけ、組織構造だけ変えてもイノベーションは起きない。

一番親和性が高いと思うのは、ISOが示す組織の各要素を、それぞれ単体でなく「相互作用を及ぼすもの」としている点である。評価システムを変えれば人のスキルが変化する、それはそういうものであろう。

ガルブレイスは、戦略・組織・プロセス・評価・人材を整合させることの重要性を説いた。一方、ISO56000はもう少し抽象的に、「相互に関連し、相互作用するシステム」と表現している。しかし、両者が伝えようとしているメッセージは驚くほど似ている。

イノベーションは、一つの施策から生まれるものではない。環境全体が整合し、互いに支え合うことで初めて持続的に生まれる」。

両者にはもちろん違いもある。一つは外部連携の有無である。ガルブレイスは閉じられた組織を想定しているが、ISOには「パートナー」「エコシステム」「オープンイノベーション」といった言及がある。これは時代の違いもあるだろうが、何に焦点を当てていたかという対象の違いが大きいだろう。

他には例えば、スターモデルがいわゆる「設計図」であるのに対し、ISOは「システム」である点が異なる。静的と動的と言っても良いかもしれない。ISOには仕組みの運営方法やPDCAへの言及が多い。スターモデルは組織をどう設計するかを教えてくれるが、ISOはそれに加えて、それをどう動かし、学習させ、進化させるかを教えてくれる。ISOが唱える運営方法にしても、環境変化への適応性が強く意識されており、ワイクのイナクトメント的な高速PDCA が推奨されている。

少し乱暴かもしれないが、ISO56000はガルブレイスを土台としつつ、ワイク、マーチ、野中らの「動的な学習」の思想を加えて、組織を進化し続けるシステムに仕立て直した、と解釈できるような気がしている。

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