2026-8-9 ニュースを「経営のヒント」に変える

前回はSTEEP分析を使って世の中の変化を読み取る方法を紹介した。しかし、もちろん新聞を読んだだけでは会社は変わらない。「なるほど、そういう時代か」で終わってしまえば知識が増えただけ。飲み屋での話題が豊富になる程度である。では、新聞やテレビから得た情報は、どうすれば経営のヒントになるのだろうか。

STEEP分析は「世の中を見るレンズ」である。経営者にはもう一枚のレンズ、すなわち「自社を見るレンズ」が必要になる。それが以前に紹介した3C分析である。世の中を眺めるレンズと、自社を見るレンズ。この2枚のレンズを切り替えることで、ニュースが自社の戦略に結びつく。

例えば新聞に、「企業に対し循環経済の開示項目が強化される」という記事が載っていたとする。たいていの企業にとってはネガティブな情報である。流し読みしただけでは「また規制が増えるのか」「顧客から面倒なことを言われそう」という感想で終わる。だが、ここでレンズを3C に切り替えてみよう。

・Customer・・・顧客は仕入先に対応を求めてくるだろう。対応できる会社の取引が増え、そうでない会社は減らされる。ピンチでもあるが、チャンスでもある。環境負荷の小さい製品や、修理・再利用できる製品の開発要求が強まるかもしれない。

・Competitor・・・競合はリサイクル素材を使い始めるかもしれない。回収サービスを始める会社も出てくるだろう。そういう「環境対応」を売りに営業をかけてくる可能性が高い。あるいは、営業の武器というより、「競争の土俵に上がる必要条件」になっていくかもしれない。

・Company・・・では自社には何ができるだろう。規制に先んじて打てる手はあるか?自社の技術でリサイクルできるものはないか。修理やメンテナンスを事業にできないか。自社から出る廃棄物は何が多くて、減らすにはどうすればよいか・・・。

肝心なのは、思考を「コスト」ではなく「売上」、「脅威」でなく「機会」に向けることである。

ここで言いたいのは、「循環経済を勉強しなさい」ということではい。「世の中の変化を見るレンズ(STEEP)から、自社を見るレンズ(3C)へ切り替える習慣をつけてほしい」ということである。この習慣が身につくと、いちいち3Cのフォーマットの書き写さなくても、読んだ記事の一つ一つが「うちの会社にはどんなチャンスになるだろう」という問いに変わるようになる。

今週読んだ記事を一つ選んでほしい。そして、5分でいい。「顧客はどう変わるか」「競合はどう動くか」「自社に商機はないか」の三方向から思考を巡らしてみてほしい。ニュースを知識で終わらせず、経営のヒントに転換する習慣がここから始まる。

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