2026-8-13 まず、小さくやってみる
前回、アイデアが出たら「まず一人のお客さんに聞いてみよう」という話をした。そこでそのお客さんから「それ、面白いね。そんなものがあったら欲しい」といってもらえたとしよう。次にやるべきことは何だろう。
普通に考えれば「市場調査をする」「事業計画を作って採算を計算する」となりそうである。そういう助言をするコンサルも多いであろう。もちろん、間違いではない。しかし、この段階で知りたいのはもっと単純なことである。
「本当にお金を払ってくれるのか?」・・・であれば、手っ取り早い確かめ方は「売ってみる」ことである。
売ってみると言っても、最初から完成品である必要はない。例えば試作品を一個だけ作って店に出してみるとか、既存の商品をちょっと改良して使ってもらう、といったことである。あるいはもっとシンプルに、チラシだけ作って反応を見てみる、でも良いと思う。つまり、いきなり事業を始めるのではなく、「実験」を始めるのである。
新規事業について考え始めると、つい「市場規模は?」「売上は?」「何年で黒字にできる?」と、期待収益が先に来てしまう。ところが、顧客が本当に買うかどうかわからないこの段階では、その数字自体がかなり怪しい。ここでは発想を逆転させてほしい。
「この事業でいくら儲かるか」ではなく、「この実験にいくらまで使っていいか」である。エフェクチュエーションの考え方では「許容可能な損失の原則」と呼ぶ。
例えば「10万円までなら使っていい」「2週間までなら使っていい」「自分と社員一人でやれる範囲ならやってみていい」という決め方である。これなら、失敗しても会社は傾かない。そして、10万円を失う代わりに「この客は買わない」「この価格では売れない」「この機能には反応する」という情報が手に入れば、それは単なる損失でもない。
これまで繰り返し述べてきたように、会社が将来にわたって存続していくためには、自ら変化していかなければならない。しかし、だからといって「失敗を恐れず、大胆に挑戦しましょう」という物言いは無責任だと筆者は思う。特に中小企業では、一つの投資判断が会社そのものを左右することもある。だから、「失敗しても困らない大きさまで、最初の一歩を小さくしましょう」と助言するのが、支援者としての誠意だと考えている。
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