2026-8-15 ないものを数える前に、手元にあるものを数えよう
前回までで、「失っても困らない範囲で、まず小さく始めてみる」という話をした。するとたいてい、こんな声が返ってくる。
「そうは言っても人がいない」「新しい設備を買う余裕なんてない」「そもそも新規事業なんてやったことがない」・・・
さて、あなたの会社には本当に何もないのだろうか?
エフェクチュエーションの提唱者であるサラスバシーは、「手中の鳥」という比喩を使っている。かみ砕いて言うと、「自分たちに今できること」「自分たちが今知っていること」「自分たちが今つながっている人」の三つを最大限に利用しろ、ということである。
例えば、「この機械って、夜は空いているよね」「営業の〇〇さん、昔は××業界にいたんだって」「あそこの社長なら詳しい人を知ってるかも」・・・こういうものが皆、「手中の鳥」である。
経営資源と言えばヒト・モノ・カネを思い浮かべるが、本当はそれだけとは限らない。経験や技能、顧客や仕入先との関係、信用、余剰設備、社員の趣味や前職まで含めれば、中小企業は案外いろいろなものを持っている。
そしてもう一つ、中小ならではの身軽さもある。大企業なら設備が空いているからといって「ちょっと拝借」というわけにはいかない。必ず承認が要る。「この客に聞いてみよう」と思っても担当部署への根回しが要る。しかし中小企業なら、「社長、これちょっといいっすか?」「おう、やってみろ」で始められる。資源の量では大企業に負けるかもしれないが、手元の資源を組み替える自由度なら圧勝である。
前回触れたコーゼーションの考え方と比較してみよう。コーゼーション的には、「これを実現するのに何が必要か」という発想になる。足りない人材、設備、資金、技術などが見えてくるので、これを調達する方法や手順を考えることになる。一方、エフェクチュエーションでは、「今持っているもので何ができるか」と考える。同じ資源のことを検討しているのだが、思考の方向が逆である。
もちろん、最終的には不足資源を調達する必要も出てくる。しかし、まだ何がどんな風に売れるかもわからない段階から、必要なものを全部そろえる必要はない。まず手持ちの材料だけで一歩進み、そこでわかったことから次を考える。当面はそれでいい。
あなたの会社が既に持っているものを、三つの視点で書きだしてみてほしい。
・私たちには何ができる?
・私たちは何を知っている?
・私たちは誰を知っている?
そして、この中の二つ、三つを組み合わせたら何ができるかを考えてみてほしい。
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