2026-8-17 「予定外」を商売のタネにする

貿易商社時代、中国へ商品の仕入に行った時のことである。目的は当然「買うこと」。ところが現地のサプライヤーと商談しているうちに、こちらが扱っている商品に相手が興味を示し、逆に商品が売れてしまった。

営業を長くやっていると、こういうことがときどきある。「そんなつもりじゃなかったんだけどな」・・・ではあるが、売れるというなら悪い話ではない。予定とは違うが、新しい商売が一つ生まれた。あなたの会社では予定外のことが起きたとき、どうしていますか?

会社では普通、先に計画を立てる。「今日は仕入先を探す」「この商品をこの顧客に売り込む」「今年はこの市場を攻める」・・・。だから、予定外のことが起きると「それは今回の目的ではない」「計画通り進めなさい」となりがちである。実際、筆者も大きな組織の中にいたときは、予定していなかった方向に商売を広げようとしてこっぴどく叱られた経験がある。

これはこれで、大企業のマネジメントとしては理解できる。人も役割も予算も細かく分かれている組織では、全員が思いついた方向に走り出したら収拾のつけようがない。ただ、である。計画から外れたものをすべて「脱線」として扱ってしまうと、せっかく目の前に現れた機会まで捨てることになる。

エフェクチュエーションには「レモネードの原則」というものがある。甘い果実を探しに行ったが、差し出されたのは酸っぱいレモン。だったら、レモネードを作ればいい・・・。この話は、「失敗しても前向きにとらえよう」ということではない。予想外の出来事そのものを「新しい資源」として利用する。そういう概念である。

冒頭の「仕入に行ったら売れてしまった」という例、あるいは「展示会で狙っていた業界と違う人が食いついてきた」「別の用途で使いたいと言われた」「商社に売り込むつもりが小売から問い合わせが来た」・・・長く商売をやっていれば誰しも経験することであろう。要はこうした出来事を「予定外」で終わらせるか、一度立ち止まって「なぜ?」と考えてみるか、その違いである。その人がそこに反応した理由を考えてみると、そこに想像していなかった市場が隠れているかもしれない。

クレージーキルトを始めれば、「予定外」は必ず起きる。その予定外を利用するのが「レモネード」である。そしてここでも、中小企業の身軽さが生きる。大企業の組織では叱られてしまう事例の通りである。

もちろん、何でも飛びつけばいいわけではない。だからこそ以前に書いた「許容可能な損失」という原則が効いてくる。大きな賭けをしてはいけない。外れても困らない範囲なら、予定外の方向に少し寄り道してみることである。

この1か月で起きた「予定外」を一つ書き出してみてほしい。

おかしな問い合わせ。客からの一言。思いがけない紹介。意外と売れちゃった商品。飲み会での従業員のアイデア・・・。

それ、本当に「予定外」で片づけて大丈夫?

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