2026-8-18 航路は変えていい。目的地は見失わない。
飛行機は、離陸前に航路を決めていても、その通りに飛び続けるわけではない。天候、風向き、混雑具合などによって、パイロットは常に航路を修正する。経営も同じである。特に中小企業が新しいことを始めようとする場合、最初に完璧な事業計画を作り、その通りに進めようとしてもまあ無理がある。だから、状況を見ながら航路を変えることは悪いことではない。むしろそれができることが中小の強みである。
ただし、好き勝手に飛んでいいわけではない。パイロットは操縦中、不測の事態が起こることを前提に、それらへの対処に専念する。状況を常に自らのコントロール下に置いておくこと。これがエフェクチュエーションでいう「飛行機のパイロットの原則」である。
筆者は二つのコントロールが必要になると考えている。今日はそのうちの一つについて書く。
一つ目のコントロールは、「やるべきか」である。以前、3Cのコラムで述べた、「欲しがるか」「勝てるか」「やれるか」に加えるべき四つ目の問いがここで効いてくる。航路は変えても、目的地まで変わってしまってはいけない。
例えば、新しい顧客から声がかかった、面白い商品を思いついた、協力してくれそうな人が見つかった・・・。どれもチャンスかもしれない。しかし、そのたびに問い直すべきである。「これは、自分たちが行きたい方向に向かっているか?」と。「売れそうだ」「儲かりそうだ」となると、この問いを見失ってしまうことがしばしばある。
かつて筆者が新設の海外営業部の責任者をしていた時のことである。事業を成長させるためには一定の構えが必要である。営業員もスタッフもそれなりに準備してもらった。後発だから業界内での認知度も必要ということで、規模拡大に走った。そのために先行投資もした。最初はそれぞれ、目的を達成するための手段だった。
ところが、いつの間にか「規模拡大」そのものが目的になってしまった。費用はどんどん膨らむが、「将来のための先行投資だから」ということで正当化される。毎年赤字が増える。そんなことがいつまでも許容されるはずもなく、結局ある時点で大幅なサイズダウンを余儀なくされた。
何が言いたいのかと言えば、「航路変更」と「目的地変更」は違う、ということである。環境に合わせてやり方を変えることと、何のためにやっているかを見失うこととは、全く別の話である。
<関連記事>

