2026-8-21 想定できることには備える。できないことには対処する。

前々回まで述べてきたエフェクチュエーションの文脈では、「不確実な未来を正確に予想しようとするより、自分たちがコントロールできるものに集中する」という話が中心だった。しかし、それは「未来はわからないのだから、何も考えなくていい」という意味ではない。むしろ逆である。「わかる範囲では考え、備える。それでも起こる想定外については柔軟に対応する」という説明のほうが正しい。

「金利が上がるかどうかわからないから、今何か考えてもしょうがない」ではない。予測できないことを言い訳にしてはならない。金利が上がった場合の資金繰りを計算しておけば、その時の調達手段に当たりをつけておけば、それで済む話である。社員の退職なら、一人にしかできない仕事を減らしておく。機械の故障なら代替手段を考えておく。もちろん全部を防ぐことはできない。その場になってみないとわからないこともたくさんある。大切なのは、何かが起きても致命傷にならない会社を作っておくことである。

リスクというと「危ないことを避ける」「失敗しないようにする」という守りのイメージが強い。しかし、ここまで書いてきた「許容可能な損失」と組み合わせれば、むしろ逆に考えられる。どこまでなら大丈夫かを考えておくから、新しいことにも挑戦できる。何が起こりうるかを考えておくから、必要以上に怖がらずに済む。リスクマネジメントは、動かないためのブレーキではない。むしろ、安心してアクセルを踏むための仕組みであると言える。

いま「起きたら困る」と思っていることを三つ上げてほしい。

そして、それぞれについて

「それは本当に想定外か」を自問してほしい。

未来を当てる必要はない。しかし「わからなかった」と「考えていなかった」は同じではない。

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