2026-8-25 新しいことをやる時間は、誰が作るのか②

一日は24時間しかない。新しい仕事を追加するなら、どこかで今やっている仕事を減らす必要がある。思い出していただきたいのは、以前このブログで書いたドラッカーの「計画的廃棄」である。ただ、現実には、「要らない仕事を探しましょう」というだけではなかなか進まない。どの仕事にもそれなりにやっている理由があるからである。そこで、少し違った見方をしてみたい。

仮に、今の仕事をすべてきちんとやれば100の成果が出ているとする。その仕事の一部をやめたり、減らしたりすれば、成果は95になるかもしれない。もちろんそれだけなら減らす理由はない。しかし、そこで生まれた時間を新しい市場の開拓に使えば、将来20の成果を生むとしたらどうだろうか。

100を守り続けるのか。それとも95を受け入れて、そこから新しい20が生まれる可能性に賭けるのか。これは「無駄な仕事をなくす」という話とは少し違う。限られた経営資源を現在から未来へどう配分するか、という経営判断である。

もちろん新しいことに時間を使ったからといって、本当に20の成果が出るとは限らない。10かもしれないし、5かもしれない。何も生まれないかもしれない。だから、社員の立場からすれば、自分の判断で100を95にするのは怖い。新規開拓がうまくいかなかったときに「新しいこともいいが、既存のお客様をおろそかにしてどうするんだ」と言われたら困る。だからこそ、「5までは失っていい」と決めるのは経営者の仕事である。以前取り上げた「許容可能な損失の原則」はここでも使える考え方である。

しかしながら、仕事を減らして時間を作るだけでも十分ではないことは覚えておいてほしい。空いた時間をそのままにしておけば、また既存の仕事が入り込んでくる。だから、「やめる・減らす」→「時間を空ける」→「その時間を未来の時間にあらかじめ割り当てる」ところまで設計しておく必要がある。「毎週水曜の午後は新規開拓に使う」「月初の半日は新商品のアイデア出しをする」と決めて、初めて「新しいことをやる時間」が会社の仕事になる。

社員に「今の仕事はきちんとやって、その上で新しいこともやってくれ」と指示することはできる。安全策のようだが、社員はまずやらない。やらないならまだいいが、下手をすると筆者が営業マンだった時の話と同じことになる。誰かが残業をしたり、休日を使って埋め合わせをすることになる。責任感のある社員ほどそういうことを隠れてやるから、気がついたときには優秀な部下をひどく消耗させていた、ということになりかねない。

新しいことを始めるとは、仕事を一つ追加することではない。昨日の仕事に使っていた時間の一部を、明日の仕事に移すことである。繰り返すが、その判断は社員任せにしてはならない。経営者であるあなた以外にはできない。

今の成果を100から95に落としていいとしたら、そこで生まれた時間をあなたの会社では何に使うだろうか?

<関連記事>

2026-7-30 「捨てる」をルーティンにする