2025-7-24 取引費用理論(TCE)
Transaction cost economics。ビジネスにおいて最適な取引形態やガバナンスを見出そうとする理論であり、結果として企業や組織の形態を定義することにつながる。すなわち、「ビジネス上の取引コストを最小化しようとする努力の結果、市場における取引コストが高い部分を内部に取り込んだものが企業である」と主張する。企業の存在意義を説明する理論の中で最も納得性の高い説といえる。
「人間は合理的に行動しようとするが、その認知力には限界がある」という「限定された合理性」を前提に置く。神ならぬ人間には先のことをすべて見通すことはできない。今は良くても将来取引相手に好き放題やられてしまう事態が起きないとも限らない。そういうリスクが高いと推定できるなら、それは自社の中に取り込んでしまった方が良い、と、おおむねこのような論理展開になる。
企業にとってその仕事を内部でやるかアウトソースするかは常に悩ましい問題であるが、デジタライゼーションの進展により、近年は急速に外部との取引コストが下がっている(スマホ一つで手軽に労働力の取引ができるバイトアプリをイメージしていただければよい)。そのような環境の中で、余計なものは全て切り離し、自社が強みとする部分だけに特化した企業が増えている(例えばアップルと鴻海の関係である)という事実は、取引費用理論の正しさを証明する。

