2025-8-28 官僚制の逆機能
ウェーバーが評価した官僚制に対し、その弊害を指摘したのがアメリカの社会学者ロバート・キング・マートンである。官僚制の特徴である規則は本来、組織目的を達成するための手段であるが、これを固守すること自体が目的になり(目的の置換)、もともとの目的を達成するための障害になってしまう。マートンはこの現象を「逆機能」と表現した。
メンバーは、たとえそれぞれは本来の組織目的を理解していたとしても、処罰を免れるために規則通りの行動をすることを優先する。それを繰り返すうち、意思決定パターンが硬直化し、仕事が思考を伴わない「作業」になる。この状態を「訓練された無能」という。このような組織では当然人も育たないし、多様性から生まれるイノベーションも期待できない。加えて、縦割りによるセクショナリズム、失敗を許容しない前例主義、現場を見ずに文書ばかり作る報告文化などもよく指摘されるところである。
しかしながら、組織に管理の仕組みを全く導入しない、というわけにはいかない。官僚制は組織を効率的かつ公平に動かすコントロースシステムとしては優れている。問題はシステムそのもの良しあしではなく、要は使い方であろう。組織が常に本来の目的・行動規範に立ち返ることのできる別の仕掛けがあれば良い。
ユニクロの柳井正は「官僚主義はお客様都合の経営と対極にあるもの」とし、経営者は必ずこれと戦うべきだと述べている(経営者になるためのノート)。

