2025-9-5 マズローの欲求段階説

アメリカの心理学者、アブラハム・マズローは、人間の持つ欲求を低次から高次にかけて5段階に分けて説明した。この「欲求段階説」は、個人の成長や動機付けを理解するための重要な枠組みとして、現代でも広く支持されている。
1.生理的欲求・・・食料や水など、人間の生存に関わる本能的な欲求。
2.安全欲求・・・危険を避け、安全な状態を求める欲求。
3.社会的欲求・・・集団や社会に所属し、そこで他者からの愛情や友情を得たいという欲求。
4.承認欲求・・・他者から尊敬されたい、あるいは自分が他者より優れていると思いたいという欲求。
5.自己実現欲求・・・自分を成長させたい、自己の可能性を最大限に引き出したいという欲求。
(各段階の名称は引用する人によって微妙に異なるが、意味は同じである)
1~4は自分以外の者によってしか満たされることのできない欲求であり、「欠乏動機」と呼ばれる。ハーズバーグの言う「衛生要因」の概念と近い。それに対して5の自己実現欲求だけは純粋に自分の問題であり、満たされるほどいっそう強化されるような「成長動機」である。
欲求段階説は「衣食足りて礼節を知る」というわれわれの感覚にうまくフィットする。物質的要求が満たされるにつれ、高次の欲求を志向する価値観は、第二次世界大戦前後の時代にはより強く響いたであろう。
しかしながらマズローは欲求段階説を裏付ける厳密な実証実験を行っておらず、のちの研究でもこれを強く支持する結果は得られていない。実際に、人の欲求はマズローの決めた段階通りには発展せず、人や地域によってさまざまである、という研究結果もある。どんな場合にでも言えることだが、それが唯一絶対という完璧な理論などまず存在しない。マズローのこの学説は熱狂的な信者が多いだけに、あえて付言しておく。

