2025-9-6 アルダファーのERG理論
アメリカの心理学者クレイトン・アルダファーは、マズローの欲求段階説を実証的に修正した「ERG理論」を提唱した。ERGはそれぞれ以下の概念の頭文字である。
1.基本的な存在の欲求(existence)
2.人間関係に関わる関係の欲求(relatedness)
3.人間らしく生きたい成長の欲求(growth)
マズローの欲求段階説にあてはめると、1.は「生理的欲求」と「安全欲求」、2.は「社会的欲求」と「承認欲求」、3.は「自己実現欲求」におおむね該当し、ざっくり言えば5段階を3段階に整理した学説である。
欲求段階説との違いは、3つの欲求が、同時に存在したり並行したりすることがありうるとした点である。言われてみれば、「一つが満たされれば一つ上に」というマズローの説より納得感は高い。所得や職場環境が良く、人間関係が良好で、かつ自分の成長も見込める職場を希望する、ということは当然ありうるだろう。
また、「欲求段階の逆行」が起こりうる点を強調するのもERG理論の特徴である。これは、例えば成長の欲求が満たされなければ、一段下がってより良好な人間関係を求めるというある種の代償行為である。こちらも個人的には腑に落ちる。
もっともこちらの点に関しては、マズローも「欲求の移り変わりは不可逆的だ」と明言はしていないらしい。診断士試験の受験勉強ではマズローとアルダファーの最大の違いはこの「後戻りするかどうか」であると習ったが、どうも正確ではないらしい。

