2025-9-15 公平説
過程理論の一つ。エクイティ理論とも言う。個人の動機づけを、報酬を他人と比較する過程において生じる主観的な公平感によって説明しようとする理論。J・ステイシー・アダムスによって提唱された。
公平説は「人は自分の報酬に対する満足・不満足を他人の報酬との比較において認識するものだ」という前提を置く(そこには自己実現とか成長という概念はない)。自分が投入したインプットと、そこから得られるアウトプットを比率として捉え、自分の比率が比較相手のそれと等しければ公平と感じるが、そうでなければ不公平と感じ、それを是正しようとする行動を取る、というのが公平説の概要である。面白いのは、そこで感じる不公平感は、自分が劣位(給料が少ない)の場合だけでなく、優位(不当に多い)の場合でも生じるということである。
不公平を感じた場合の是正のしかたには以下の5パターンがある。
・インプットを減らす・・・労働時間を減らす、努力をしなくなるなど、熱心に仕事をしないことでバランスを取ろうとする。
・アウトプットを増やす・・・昇給を要求する。聞き届けられなければ横領や窃盗などの代償行為につながることもある。
・入力と出力に対する認識を変える・・・「自分が得ているのは給料だけではなく、福利厚生や職場環境もあるよな」といったこと。自分だけではなく、例えば「あいつもああ見えて頑張っているからな」という、比較対象に対する認識の変化もある。
・比較対象を変える・・・例えば自社の同僚でなく、同業他社のデータと比較してみるといったこと。
・比較そのものをやめる・・・会社を辞める、など。
海外赴任をしたことがある管理職の方は、現地従業員が同僚と給与明細を見せ合って、金額の多寡に対する不満を大っぴらにする、という経験をお持ちかもしれない。この話は赴任先がどの国であるかを問わず耳にするので、むしろ不公平感をあからさまに表現しない日本の方が例外なのであろう。何にせよ、この種の不満に対する説明体系は、相手が日本人か外国人かによらず、準備しておくのに越したことはない。もっとも、公平感や不公平感はあくまで本人の主観に基づく感情であり、これを完全に払しょくすることはほぼ不可能である。

