2025-9-17 目標設定理論
エドウィン・ロックが提唱した、目標が仕事への重要な動機付けになるという理論。ロックによれば、人は具体的で困難な目標を設定することで意欲を高め、より高いパフォーマンスを発揮する。多くの人にとって、経験的に腑に落ちやすい学説であろう。
目標による自己統制の効果はマクレガーも指摘しているし、目標が高すぎて達成困難な場合に意欲が減退する、とする点は期待理論と同じである。この理論の独自性は「本人がその難しい目標を受け入れていること(納得性)」を前提条件としている点にある。面白いのは、本人を目標設定の場に参加させれば納得性は増すが、結果として高い業績につながるとは限らない、としていることである。そういえば筆者は、後から振り返ると「これは無理でしょ」と思える目標を立ててしまうことが多い。ちょうどいい目標の設定というものは、存外当人には難しい芸当なのかもしれない。
また、ロックは、目標の進捗に対する適切なフィードバックがモチベーションの維持向上に資することを強調したことでも知られている。
組織目標と個人の目標を調整し、メンバー一人ひとりに整合的な目標を設定する「MBO(managemennt by objectives:目標設定管理)」の理論的背景としてよく用いられる。また、優れた目標設定の要素としてよく持ち出される「SMARTの法則」も、目標設定理論を発展させてできたものだと言われている。
この理論は、目標設定がモチベーションという「過程」に影響を与えることを説明するため、「過程理論」に分類されるが、他の過程理論が動機づけのメカニズムに焦点を当てるのに対し、目標設定理論は目標の「性質」に重きを置く点が異なる。対象とするのもいわゆる「低次欲求」ではない。

