2025-9-19 内発的動機づけ理論
報酬や評価といった外的な要因に依存せず、個人の内なる興味や関心、やりがい、達成感などによって自発的に行動を促す理論。アメリカの心理学者エドワード・L・デシが提唱した。平たく言えば達成感や充実感といった感覚こそが報酬であり、それを自分の内部から引き出すことが行動の目的である、とする説である。
内発的動機づけ理論では、金銭などの外的な報酬はむしろ内発的な動機づけを低下させるので好ましくないとされる。純粋に善意で行った行為にお金のやり取りが発生してしまうと、急に白けた感じになるあれである。これを「アンダーマイニング効果」という。
逆に、他者からの賞賛や金銭などの外的な報酬によって内発的動機づけが高まる心理現象も証明されており、こちらは「エンハシング効果」と呼ばれる。両方あってややこしいが、一般的には、内発的動機づけが十分に高まっている状態であれば外発的動機づけは逆効果になり、あまり高まっていない状態であればモチベーションを上げる効果がある、というのが通説である。後者の場合、最初は報酬目的であっても徐々に行動自体にやりがいを見出すということがありうるから、というのが説明になる。また、承認や賞賛といった言語報酬は一般的にアンダーマイニング効果を生じさせにくいと言われている。
内発的動機づけ理論のベースは、人間には以下の根源的な欲求が備わっており、それらを充足することによって健康で幸福に生きられるという人間観がある。
・自立性の欲求・・・自分で選択し、決定している感覚を求める欲求
・有能性の欲求・・・自分の持っている能力を発揮し、成長を実感したいという欲求
・関係性の欲求・・・他者とのつながりや信頼関係を求める欲求
心理学の世界では今日、この内発的動機づけ理論を発展させた「自己決定理論」が詳細に体系化されている。

