2025-9-22 連結ピンモデル

アメリカの心理学者R・リッカートが提唱した組織構造に関する概念。小集団を組織の構成単位とみなし、構成単位間の連携を「連結ピン」で行うという考え方。連結ピンとは、組織内の異なる階層間をつなぎとめ、上下のコミュニケーションのハブとしての役割を指す。通常は課長やグループリーダーといった管理者・監督者によって果たされる機能である。

連結ピンは上位階層の意思決定を下位階層に伝達し、同時に下位階層の意見や問題点を上位階層にフィードバックする。「上下のパイプ役」と言われるゆえんだが、本当のところ、連結ピンに求められる役割は単なるパイプではない。経営は現場の考えや要求を近視眼的とみなし、現場は経営の判断を理想論だと決めつける。すべての組織には多かれ少なかれそうした認識ギャップがあり、それぞれの見解をそのままぶつけ合うだけでは混乱が生じるだけである。

経営の示す戦略や目標の背景を説明し、自部門の役割に照らして行動計画に落とし込む。部下の不満はいったん咀嚼し、経営の方向性や実行可能性を定める情報として有用なものだけを報告する。こうした調整能力こそ、連結ピンとしてのリーダーに欠かせない要素なのである。

多くの組織で、連結ピンの機能は、ミドルと呼ばれる中間管理職が果たしてきた。失われた30年の間にフラット化を進めた多くの企業では、このミドル層が大量に削減の対象となった。この時代にサラリーマン生活を過ごした筆者には、この、ミドルの削減というリストラ策こそが、日本企業の強みを削いだ悪手であったように思える。経営と現場では見えている景色が全く違う。お互いの言葉はそのまま通じない。そこにはそれぞれの言葉を翻訳し、行動を正しい方向に導く機能が絶対に必要なのである。

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