2025-9-27 バーナードによるリーダーシップの定義
アメリカの経営学者チェスター・バーナードはその著書「経営者の役割」において、リーダーシップを「信念を創り出すことによって、協働する個人的意思決定を鼓舞する個人の力」と定義した。すなわち、組織の目的を達成するために、メンバーに影響力を及ぼす力と考えられる。
バーナードによれば、リーダーシップには技術的側面と道徳的側面がある。前者は体力、知識、スキルなどにおける個人的な優位性をいい、後天的に身につけることが可能である。一方、後者は決断力、忍耐力、勇気などにおける優位性であり、こちらは先天的なものとされる。バーナードはこの両面を十分に発揮することがリーダーシップを機能させる方法だと述べた。
知識労働者が主体である現代の組織において、リーダーシップにおける技術的側面の役割は相対的に低下している。ある分野の知識やスキルにおいて、マネージャーよりも部下の方が長けているといったことは今や珍しくもない。今起きている問題に対し、経験豊富なマネージャーが正しい答えを必ず持っている、という時代でもない。
逆に重要性が増しているのが、リーダーシップの道徳的側面である。エンロン事件など大掛かりな不正が相次いだ2000年代以降、アメリカではリーダーの道徳的資質に着目し、「オーセンティック(本物の)リーダー」論が語られるようになった。この点についてはドラッカーも「(マネージャーが)始めから身につけていなければならない資質が一つだけある。才能ではない。真摯さである」と述べている(「マネジメント」)。
いわゆるソフトスキル(人間力)が何物にも代えがたい資質として重視される時代であり、それを支える道徳教育やリベラルアーツ教育が叫ばれるゆえんである。

